大好きな先生と、月明かりが差し込む部屋で過ごした夜


 手紙は、いつも沙也香に手渡してる。


 アノ子から優介に、無事届くはずがない。

 ビリビリに破いて捨てるか、差し出した本人に文句を言って突き返すなど、いつも大暴れしてる。


 片思いの大好きな男の子、そして幼なじみ。


 周りの女の子は沙也香の存在を知ってても、大好きな気持ちを止めることはできないんだね。

 まあ、アノ子がいれば優介に悪い虫がつかないので安心だけど。


「私の気持ちはどうなんだろう……」


 どうして優介のことが、こんなに好きなの?

 弟だから? 一緒に暮らしてる家族でイケメンだから?

 私より背が高いから? 下の名前で呼び捨てにしてくるから? 姉だから?


 子供のころから一緒に過ごしてきた弟との時間が、走馬燈のように頭の中を駆け巡ってる。


 お姉ちゃんと呼ばれてた小学生のころ、姉貴と生意気な口調で反抗されてた中学時代。



 でも、お互い高校生になってからは……



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