sweet sweet chocolate

そのまとわりつく様な瞳に、ビクッと震える。
警戒する脳とは裏腹に、心臓は高鳴ってうるさい。

思わず背けた顔を、仲井君の手のひらが簡単に連れ戻す。


距離が、一気に縮まった。


「......先輩、チョコ、食べません?」

「......いや」

「甘くて旨いよ。俺、食べていい?それとも」

わたしの頬を包む手のひらとは反対の手で、カサっとチョコレートの包み紙が開かれる。

ふわっと香るカカオの匂いは、懐かしくて、苦しい。

仲井君の指先のチョコは、そっとわたしの唇に、触れた。

甘い。甘くて、ちょっとだけ苦くて。


知っている。

これを食べたらもう、戻れない。


「食べさせたげよっか?」



蝕まれる。身体も、心も。
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