sweet sweet chocolate
わたしの唇に触れた硬いチョコレートは、名残惜しく離れ、そのまま仲井君の口元に届く。
カリッとチョコレートを噛むその音は、風の音すらない保健室の中に響く。
甘ったるい香りが、さっきよりぐっと、広まった。
仲井君の丸い瞳がすっと細まり、わたしの口元を捉える。
捕まったわたしは、もう、身動きひとつ、できない。
甘い香りが鼻先に届き、そのまま吸い込まれる様に、唇に、ついた。
触れた仲井君の唇は温かくて、同時にとても、甘い。
甘い。逃げられない。
深く溶け込むチョコレートは、わたしの身体を、いとも簡単に包み込んだ。
つっと伝った涙すら、甘い香りがする。
苦しい。痛い。苦い。
甘すぎて、呼吸ができない。