sweet sweet chocolate
窓の隙間から優しく吹き込んでいた風が、ぶわっと大きく揺れた。
と同時に、ガラガラっと窓の開く音。
全開に開かれた窓から飛び込んできたのは、揺れる癖っ毛の男の子。
太陽の光を背中いっぱいに浴びたその子はあまりにも眩しくて、わたしは思わず、目を細めた。
「あれ?誰かいたんだ」
明らかに出入り口ではないところから入ってきた彼は、ベッドに腰掛けるわたしに驚いた表情をする。が、正しい保健室の使い方をしているわたしの方が、圧倒的に驚いている。
「だ、誰......」
「ごめんね、先客がいるとは思わなかった!あ、俺、仲井颯人。一年B組。あんたは?」
「え......と、」
あまりに懐っこい表情を見せる彼に戸惑いながらも、軽く自己紹介する。
「光永香澄。......2年A組、です」
「おぉ!先輩か!女の先輩とお知り合いになれるなんてラッキー!」
コロコロと笑う表情はまるで子犬みたいで、思わず可愛いな、なんて思ってしまう。