sweet sweet chocolate

「俺、もう少し肉付きいい女の子の方が好きだよ」

「......君の好みは、聞いてない」

「ハハッ、違いねぇ」

腰掛けたわたしの横に、仲井君も座る。

そんなに背は変わらない気がするけど、わたしとは違う角張った手のひらに、ドキッと心臓が跳ねる。

「......わたしだって、こんなに痩せたいわけじゃ、ない。今の自分が前の自分より魅力的だとも、思ってないよ」

「うん」

「でも、食べられない。わかんないの。自分でもどうしていいのか......」

じわっと目の前が滲んだかと思うと、パタリと大きな雫が骨の浮いた手の甲に落ちた。

わかってる。こんな自分、ちっとも可愛くない。ちっとも魅力的じゃない。

でもどうしても、自信がない。今の自分も嫌いだけど、前の自分にも戻りたくない。

誰もわたしを認めてくれない様な、そんな恐怖心が、消えない。
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