親子ほど歳の離れた異性に恋に落ちたことはありますか?
第25話
朋美さんは何事もなかったかのように笑顔で戻って来たが、気まずさなのか僕と目を合わせようとはしなかった。僕も聞いてはいけないような雰囲気に、そこには触れずに
「じゃあ…ケーキ食べましょうか?」
と、ぎこちない笑顔で言った。
「うん、食べよ食べよ」
ホールから切り分けたケーキをそれぞれの皿に乗せてフォークで食べ始めた。
お互い無言で食べる重い空気を変えようと、僕は予め用意していた朋美さんに渡すプレゼントをテーブルの下から引っ張り出した。
本当はこの空気感の中で渡すのは本意ではなかったのだが、さっきの電話の相手のことを二人の頭から切り離す手段としてこれしか方法が見つからなかったからだ。
「あの…朋美さん…受け取って下さい…そんなに高価な代物では無いけど…」
そう言って小さな紙袋を朋美さんに手渡した。
「え?なになに?和ちゃんからのクリスマスプレゼント!?」
朋美さんは目を丸くして驚いている。
「和ちゃんあけてもいいかしら?」
「はい!是非今あけてみて下さい!」
朋美さんは紙袋の中から小さな長細い箱を取り出し、そしてその箱をパカッと開いた。
「まぁ!可愛らしいネックレス!これ本当に頂いて良いのかしら!」
朋美さんは凄く嬉しそうな笑顔で自分の首にかける。
「どう?似合うかしら?」
「はい!凄く似合いますよ!」
そう良いながらも、やはり朋美さんの陰に僕以外の誰かが居たら僕のこの気持ちも全て台無しになってしまうのかな?という複雑な想いがこの幸せなはずの時間をぶち壊していく…
朋美さん…真実が知りたい…朋美さんの中には僕だけしか居ないのか…それとも…
そんな葛藤が続いているとき、今度は朋美さんから
「実はね、私も和ちゃんにプレゼントがあるの…」
「え?ほんとですか?」
「うん…」
そう言って立ち上がり押し入れから何かを取り出してきた。
朋美さんが僕の横に座ってそっと僕の手を握り、もう片方の手は小さな箱を持っていた。
「これ…喜んでくれると嬉しいんだけど…」
と、恥ずかしそうに僕の目の前に差し出してきた。
「僕もあけていいですか?」
「うん…あけてみて…」
小さな箱をあけると僕の欲しかった腕時計が入っていた。僕は胸踊る想いで喜んだのだが、なぜこの腕時計を欲しいということがわかったのか不思議だった。
「朋美さん…どうしてですか?」
思わず僕はそんなおかしな聞き方をしていた。
朋美さんは僕の反応に不安になったのか
「ごめん…こんなの嬉しくなかったかしら?」
僕は誤解させるような態度を取ってしまったのかと思い焦って弁解した。
「いや!そうじゃなくて…何故この腕時計を僕が欲しいとわかったんですか?」
「この前デパートで一緒に買い物してたとき…和ちゃん時計屋さんでこの腕時計に釘付けになってたでしょ?それで…もしかしたらこれが欲しいんじゃないかと思って…」
「と…朋美さん…そりゃもうこれが欲しくて欲しくてたまらなかったですよ…でも、ちょっと今の僕には高額というか…贅沢品かなと思って諦めてたんです…いつかこれが普通に買えるぐらい稼いでからと思って…なのに…やっぱりこんなの受け取れませんよ!」
「どうして?これは和ちゃんの為に用意したんだから和ちゃんに使ってもらわなきゃ無駄になってしまうわ…」
僕が受け取らなかったら、他の僕の知らない誰かに上げれば良いんじゃないですか?
僕は卑屈になって心の中でそんな酷いことを考えてしまった。
「本当に僕がこれを貰ってもいいんでしょうか?」
無意識に意味深な発言をしてしまったことに後悔した。
「和ちゃん…どうしたの?何か言いたいことがあるのかしら?」
朋美さんは僕の心の中を見透かしたようにそう聞いてきた。
僕は慌てて言い訳をする。
「いや…そんなんじゃ無くて、朋美さん自身わりと質素な生活されてるし…失礼ですけど決して余裕のある生活には見えないから…その…こんな高価な時計をもらうのは申し訳ないなと…」
「やあだ!高価高価って…そんな高級時計をプレゼントしたわけでもないのに…これくらいさせてよ」
「あ…ありがとうございます…僕からしたら十分高級時計に思えるんですけど、朋美さんのお気持ち凄く感謝してます!」
そう言って早速腕にはめて朋美さんに見せた。
「良いんじゃない?似合ってるわよ!」
「はい!凄くカッコいい!凄く嬉しい!大切にします!」
そして朋美さんの肩を抱き寄せて朋美さんの頭に僕の頬を乗せた。
朋美さんが僕に聞こえるか聞こえないかの微かな声で
「愛してる…」
そう言ったように思えた。
僕は確かめる為に
「え?今何て?」
そう言ったが朋美さんは頭を軽く振り、そのあともう一度その言葉を発してくれることはなかった。
愛してる…そう言ったんですか?それとも聞き間違いだったのかな…形式上はバーチャル恋愛だから、そのワードを使っていいのかわかないけど…少なくとも僕は貴女を愛してます…でも、今は…正直ちょっとわからなくなってます…だって…
僕がウダウダと考えてる中、朋美さんが静かに口を開いた。
「ねぇ…和ちゃん…今夜ウチに泊まっていかない?」
僕は朋美さんのその言葉を聞いた瞬間、心臓が破裂しそうな程の勢いで脈が速まり、意識が飛びそうな程緊張し自然と汗が吹き出す。ついさっき誰かわからない人から電話があって…それはカムフラージュ?それとも…
一度疑い出せば何もかもが疑わしく見えてしまう…でも、もしそうではないとしたら…
その時、朋美さんは僕の首に腕を絡ませ、そして優しく唇を重ね合わせてきた。
この日僕は複雑な想いを交錯させながら朋美さんと付き合い出して最初で最後のお泊まりとなった。
「じゃあ…ケーキ食べましょうか?」
と、ぎこちない笑顔で言った。
「うん、食べよ食べよ」
ホールから切り分けたケーキをそれぞれの皿に乗せてフォークで食べ始めた。
お互い無言で食べる重い空気を変えようと、僕は予め用意していた朋美さんに渡すプレゼントをテーブルの下から引っ張り出した。
本当はこの空気感の中で渡すのは本意ではなかったのだが、さっきの電話の相手のことを二人の頭から切り離す手段としてこれしか方法が見つからなかったからだ。
「あの…朋美さん…受け取って下さい…そんなに高価な代物では無いけど…」
そう言って小さな紙袋を朋美さんに手渡した。
「え?なになに?和ちゃんからのクリスマスプレゼント!?」
朋美さんは目を丸くして驚いている。
「和ちゃんあけてもいいかしら?」
「はい!是非今あけてみて下さい!」
朋美さんは紙袋の中から小さな長細い箱を取り出し、そしてその箱をパカッと開いた。
「まぁ!可愛らしいネックレス!これ本当に頂いて良いのかしら!」
朋美さんは凄く嬉しそうな笑顔で自分の首にかける。
「どう?似合うかしら?」
「はい!凄く似合いますよ!」
そう良いながらも、やはり朋美さんの陰に僕以外の誰かが居たら僕のこの気持ちも全て台無しになってしまうのかな?という複雑な想いがこの幸せなはずの時間をぶち壊していく…
朋美さん…真実が知りたい…朋美さんの中には僕だけしか居ないのか…それとも…
そんな葛藤が続いているとき、今度は朋美さんから
「実はね、私も和ちゃんにプレゼントがあるの…」
「え?ほんとですか?」
「うん…」
そう言って立ち上がり押し入れから何かを取り出してきた。
朋美さんが僕の横に座ってそっと僕の手を握り、もう片方の手は小さな箱を持っていた。
「これ…喜んでくれると嬉しいんだけど…」
と、恥ずかしそうに僕の目の前に差し出してきた。
「僕もあけていいですか?」
「うん…あけてみて…」
小さな箱をあけると僕の欲しかった腕時計が入っていた。僕は胸踊る想いで喜んだのだが、なぜこの腕時計を欲しいということがわかったのか不思議だった。
「朋美さん…どうしてですか?」
思わず僕はそんなおかしな聞き方をしていた。
朋美さんは僕の反応に不安になったのか
「ごめん…こんなの嬉しくなかったかしら?」
僕は誤解させるような態度を取ってしまったのかと思い焦って弁解した。
「いや!そうじゃなくて…何故この腕時計を僕が欲しいとわかったんですか?」
「この前デパートで一緒に買い物してたとき…和ちゃん時計屋さんでこの腕時計に釘付けになってたでしょ?それで…もしかしたらこれが欲しいんじゃないかと思って…」
「と…朋美さん…そりゃもうこれが欲しくて欲しくてたまらなかったですよ…でも、ちょっと今の僕には高額というか…贅沢品かなと思って諦めてたんです…いつかこれが普通に買えるぐらい稼いでからと思って…なのに…やっぱりこんなの受け取れませんよ!」
「どうして?これは和ちゃんの為に用意したんだから和ちゃんに使ってもらわなきゃ無駄になってしまうわ…」
僕が受け取らなかったら、他の僕の知らない誰かに上げれば良いんじゃないですか?
僕は卑屈になって心の中でそんな酷いことを考えてしまった。
「本当に僕がこれを貰ってもいいんでしょうか?」
無意識に意味深な発言をしてしまったことに後悔した。
「和ちゃん…どうしたの?何か言いたいことがあるのかしら?」
朋美さんは僕の心の中を見透かしたようにそう聞いてきた。
僕は慌てて言い訳をする。
「いや…そんなんじゃ無くて、朋美さん自身わりと質素な生活されてるし…失礼ですけど決して余裕のある生活には見えないから…その…こんな高価な時計をもらうのは申し訳ないなと…」
「やあだ!高価高価って…そんな高級時計をプレゼントしたわけでもないのに…これくらいさせてよ」
「あ…ありがとうございます…僕からしたら十分高級時計に思えるんですけど、朋美さんのお気持ち凄く感謝してます!」
そう言って早速腕にはめて朋美さんに見せた。
「良いんじゃない?似合ってるわよ!」
「はい!凄くカッコいい!凄く嬉しい!大切にします!」
そして朋美さんの肩を抱き寄せて朋美さんの頭に僕の頬を乗せた。
朋美さんが僕に聞こえるか聞こえないかの微かな声で
「愛してる…」
そう言ったように思えた。
僕は確かめる為に
「え?今何て?」
そう言ったが朋美さんは頭を軽く振り、そのあともう一度その言葉を発してくれることはなかった。
愛してる…そう言ったんですか?それとも聞き間違いだったのかな…形式上はバーチャル恋愛だから、そのワードを使っていいのかわかないけど…少なくとも僕は貴女を愛してます…でも、今は…正直ちょっとわからなくなってます…だって…
僕がウダウダと考えてる中、朋美さんが静かに口を開いた。
「ねぇ…和ちゃん…今夜ウチに泊まっていかない?」
僕は朋美さんのその言葉を聞いた瞬間、心臓が破裂しそうな程の勢いで脈が速まり、意識が飛びそうな程緊張し自然と汗が吹き出す。ついさっき誰かわからない人から電話があって…それはカムフラージュ?それとも…
一度疑い出せば何もかもが疑わしく見えてしまう…でも、もしそうではないとしたら…
その時、朋美さんは僕の首に腕を絡ませ、そして優しく唇を重ね合わせてきた。
この日僕は複雑な想いを交錯させながら朋美さんと付き合い出して最初で最後のお泊まりとなった。