親子ほど歳の離れた異性に恋に落ちたことはありますか?
第5話
実はこの時、朋美はしばらく玄関のところで立ち尽くしていた。朋美もまた和也が出ていった後ろ姿に虚しさを覚える。二十以上も歳の離れた自分にまさか18歳の若い男の子が自分に想いを寄せてるとは思えず、好意はあってもそれを切り出すことなど到底出来ない。一人になって急にとてつもない淋しさに襲われていた。和ちゃん…あなたは何故ここに来てくれたの?何度も私に思わせ振りなことを言って…私、ついその気にさせられちゃうじゃない…でも、そんなバカなことあるわけ無いわよね…
お互いが玄関ドア一枚隔てて、お互いを想いながら向き合って立っていたことなど、二人には知る由もなかった。
翌日、午後になり朋美さんは出勤することはなかった。僕は昨日は元気そうだった朋美さんが出勤してこなかったことに凄く心配した。あれから急に体調を崩したのだろうか…今日も様子を見に行った方が良いだろうか…それとも逆に迷惑かな?そんな思いが交錯していた。そのとき他のパートさんの上田さんが
「そういえば北村君、昨日鈴木さんの家にお見舞いに行ったの?」
と聞いてきた。僕は何も考えずに答えた。
「はい!昨日はわりと体調良いから、今日は出勤するって言ってたんですけど…」
「鈴木さん家に上がったの?」
僕は何でそんな事を聞くのだろうと思いながら
「はい…少しだけお邪魔しました」
そう答えた。これが後に後悔することになるとも知らずに…
その日も仕事が終わってから、朋美さんのことが気になり家には戻らず、真っ直ぐ朋美さんの家に向かった。そして朋美さんの部屋の玄関前に立って深呼吸をしてからチャイムを鳴らす。
ピンポーン。
しばらく待って朋美さんの声が聞こえてきた。
「はぁい、どちら様ですか?」
「僕です!北村です!」
そしてすぐにドアが開いて朋美さんが顔を出す。
「和ちゃん、ごめんね…心配かけちゃった?」
そう言って部屋に入るように促され、僕はゆっくり部屋に上がり込む。
「突然押しかけちゃってすみません…あれからまた体調崩されたんですか?」
僕はテーブルの前に座り、そう聞いた。朋美さんは
「うん…朝になってまた調子が悪くなっちゃってね…ごめんね、昨日は出勤するって言ったのに…」
「いえ、そんな…でも、ちょっと心配だったんで…鈴木さんの番号聞いとけば良かったかなってちょっと思いました」
その瞬間、朋美さんは少し動揺したような表情を浮かべたので、僕はまずいことを言ってしまったと思い、慌てて
「あっ…あの…あくまで心配だったんで…その…大丈夫なのかどうなのかだけでも知りたかったなって…いうか…」
朋美さんは笑顔で
「和ちゃん、ありがとう。ほんとにごめんね、そんなに心配かけちゃって…私が独り暮らしだから、何かあってもすぐに対応してくれる人居ないもんね…和ちゃん、番号交換しようか…」
そのとき僕は胸が高鳴るのを必死で抑え
「でも、異性同士だし、やっぱりこういうのは世間から見れば良くないですかね?」
素直になれずそんなことを言ってしまった。朋美さんは小さくうなずき
「そう…よね…親子ほど歳の離れた二人が、そんなことしたら、変な噂立ったら和ちゃんに迷惑かけちゃうしね…」
朋美さんは笑顔でそう言ったが、どこかその表情には陰があったように感じられた。僕は千載一遇のチャンスを逃しすごく意気消沈したが、今さらやっぱり交換してくださいなど言えるはずもなく黙り込んでしまった。そして、朋美さんも気まずそうに黙る。僕はそっと上目遣いに朋美さんを見る。朋美さんは視線を少し下に落として、何か言おうとしているのか唇がわずかに動いている。この気まずい空気に耐えられなくて、僕は
「明日は…明日は出勤出来そうですか?」
そう聞いた。朋美さんは少し黙ってから
「うん…明日は出勤するわね、ごめんね…ほんとに…」
「いえ、僕は鈴木さんに今日会えて…」
そう言いかけて止めた。朋美さんは
「ん?なぁに?」
その続きを言いたい気持ちはあってもなかなか言えない。鈴木さんに今日会えて幸せです…そう言えたらどんなにいいだろう…
「和ちゃん?」
朋美さんが僕の方をうかがうように覗き込んで来た。
お互いが玄関ドア一枚隔てて、お互いを想いながら向き合って立っていたことなど、二人には知る由もなかった。
翌日、午後になり朋美さんは出勤することはなかった。僕は昨日は元気そうだった朋美さんが出勤してこなかったことに凄く心配した。あれから急に体調を崩したのだろうか…今日も様子を見に行った方が良いだろうか…それとも逆に迷惑かな?そんな思いが交錯していた。そのとき他のパートさんの上田さんが
「そういえば北村君、昨日鈴木さんの家にお見舞いに行ったの?」
と聞いてきた。僕は何も考えずに答えた。
「はい!昨日はわりと体調良いから、今日は出勤するって言ってたんですけど…」
「鈴木さん家に上がったの?」
僕は何でそんな事を聞くのだろうと思いながら
「はい…少しだけお邪魔しました」
そう答えた。これが後に後悔することになるとも知らずに…
その日も仕事が終わってから、朋美さんのことが気になり家には戻らず、真っ直ぐ朋美さんの家に向かった。そして朋美さんの部屋の玄関前に立って深呼吸をしてからチャイムを鳴らす。
ピンポーン。
しばらく待って朋美さんの声が聞こえてきた。
「はぁい、どちら様ですか?」
「僕です!北村です!」
そしてすぐにドアが開いて朋美さんが顔を出す。
「和ちゃん、ごめんね…心配かけちゃった?」
そう言って部屋に入るように促され、僕はゆっくり部屋に上がり込む。
「突然押しかけちゃってすみません…あれからまた体調崩されたんですか?」
僕はテーブルの前に座り、そう聞いた。朋美さんは
「うん…朝になってまた調子が悪くなっちゃってね…ごめんね、昨日は出勤するって言ったのに…」
「いえ、そんな…でも、ちょっと心配だったんで…鈴木さんの番号聞いとけば良かったかなってちょっと思いました」
その瞬間、朋美さんは少し動揺したような表情を浮かべたので、僕はまずいことを言ってしまったと思い、慌てて
「あっ…あの…あくまで心配だったんで…その…大丈夫なのかどうなのかだけでも知りたかったなって…いうか…」
朋美さんは笑顔で
「和ちゃん、ありがとう。ほんとにごめんね、そんなに心配かけちゃって…私が独り暮らしだから、何かあってもすぐに対応してくれる人居ないもんね…和ちゃん、番号交換しようか…」
そのとき僕は胸が高鳴るのを必死で抑え
「でも、異性同士だし、やっぱりこういうのは世間から見れば良くないですかね?」
素直になれずそんなことを言ってしまった。朋美さんは小さくうなずき
「そう…よね…親子ほど歳の離れた二人が、そんなことしたら、変な噂立ったら和ちゃんに迷惑かけちゃうしね…」
朋美さんは笑顔でそう言ったが、どこかその表情には陰があったように感じられた。僕は千載一遇のチャンスを逃しすごく意気消沈したが、今さらやっぱり交換してくださいなど言えるはずもなく黙り込んでしまった。そして、朋美さんも気まずそうに黙る。僕はそっと上目遣いに朋美さんを見る。朋美さんは視線を少し下に落として、何か言おうとしているのか唇がわずかに動いている。この気まずい空気に耐えられなくて、僕は
「明日は…明日は出勤出来そうですか?」
そう聞いた。朋美さんは少し黙ってから
「うん…明日は出勤するわね、ごめんね…ほんとに…」
「いえ、僕は鈴木さんに今日会えて…」
そう言いかけて止めた。朋美さんは
「ん?なぁに?」
その続きを言いたい気持ちはあってもなかなか言えない。鈴木さんに今日会えて幸せです…そう言えたらどんなにいいだろう…
「和ちゃん?」
朋美さんが僕の方をうかがうように覗き込んで来た。