俺はずっと片想いを続けるだけ**おまけ
建物の壁に身体を押し付けられて首を絞められた。

目の前には、ひょろ夫男爵。
両目が血走っていて普通の様子じゃない。


「お前、ジュディスを何処へやった!」

なぜか疑問文じゃなくて肯定文な物言いをされたが、訳がわからない。
ジュディスは、俺がひょろ夫から寝取った女の名前だが、俺はあれ以来会っていなかった。


「お前、本当に殺すぞ?」

これは疑問文。
俺の返答次第で肯定文に変えるつもりだ。


じわじわと首を絞める手に力が入り始めていて、息をするのが……

あの女を何処へと、言われても知らないし
これだけ絞められてたらそれさえも言えず、
俺はここで、ひょろ夫に殺されるんだと思った。


死んでしまう時には走馬灯のように今までの事が脳裏に浮かぶと、聞いたことがあるけど
俺の場合は現在の家族の顔が浮かんだ。


何が何でも家名と金で、解決してくれる親父。
母さんが死んでから、直ぐに来た継母と姉貴。
何故か3歳上で、親父の実子だった姉貴。


継子いじめなどされてはいないけど、
マクファーレンの家に俺が必要とは思えなかった。


このまま俺がここで死んだら、家族は泣いてくれるかな……


俺はドノヴァン・マクファーレン……

ほ、ほーき、じ、じゅうろく……
いけてる…めん……
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