俺はずっと片想いを続けるだけ**おまけ
俺は泣いていたが、助けてくれた人にはちゃんと御礼を言う礼儀は忘れていない。

足元に見えた靴は綺麗に磨き込まれていて、上流階級の人間だと、察した。


俺は命の恩人を見上げた……えっ?


恩人はグレイスの旦那
クリストファー・クレイヴン・グラッドストン。


この世で一番、俺が泣き顔を見られたくない男
だった。


 ◇◇◇


グレイスの旦那が駆けつけた王都警備の第3騎士隊に説明をしているのを、俺はぼんやり眺めていた。

こうして離れて見ていると……悔しいけど。
俺とは桁ちの大人に見えた。 


「私の妻の友人で、先日我が家へ訪ねてきてくれたので
 通りで見かけて挨拶しようと思いまして、彼を追いかけたんです」  

旦那は爽やかな笑顔で、第3の騎士達に説明した。


俺の後をつけていた男(ひょろ夫のことだ) に
気が付いて、御者を先に第3の詰所に走らせてくれていたので、捕縛するのも早かった。


旦那が俺の方に戻ってきた。


「嫁が男と逃げたらしい。
 相手が君だと、思い込んでいたそうだ」

「貴方、やることが早いね」

本当は貴方なんて、呼びたくなかったけど、命の恩人だし?
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