俺はずっと片想いを続けるだけ**おまけ
今の王宮は王太子殿下の行状から些細なことは
事故扱いしないので、本当のところは怪しいが
友人の弟として、ルイスが評価されているのは
喜ばしかった。


「それは喜ばしい限りなのですが……」

第1騎士隊隊長が重々しく言う。  


「王太子妃殿下のご出産ご予定日も近づかれたということで。
 そろそろ、我々も限界が……」
  

うーん。
やっぱりな、この話な。
いつかは絶対に来ると、思っていたんだ。


殿下は愛妻家だ。
特に妃殿下が身籠られてからは、少しでも時間が出来るとお顔を見に、妃殿下のお腹をお触りに、行かれる。

殿下御本人にはクラッシャーとしてのご自覚はないから、普通に会いに行かれているおつもりなのだが……


1日に何度も。
殿下の貼り薬の匂いが近づくと、各所殿下シフトを組まなくてはならなくて。


皆がぴりぴりしていた。
特に、妃殿下の周囲では。


『ご出産のXデイを何事もなく迎える為には、
 王太子殿下には消えていただくしかない』


誰もが思いながら、誰もが口に出来ない事実だ。

今、隊長は勇気を出して、それを言わんとして
いる。
尊敬する。


俺には言えなかった。
イーサン相手にさえ、言えなかった。

……グレイスには、甘々ピロートークタイムに
お話したけどね。
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