俺はずっと片想いを続けるだけ**おまけ
「例のあの壁紙、あれをもう一度発注して壁紙を替えたら、殿下も直ぐに出て行くんじゃない?」

妹よ、お前は俺の思い出してはいけない箱を開くつもりか?

父が妹に注意する。


「カリーナ、あの客室にいくら掛けたと思う?
 あんな壁紙にしてみろ……」

「○○,○○○,○○○- 掛けたのよ」


母が口にした金額に、一同固まった。

ベッドはそのままにしておこう……


「そうですよね!
あのお部屋、とても素敵で美術館みたいだなぁ、って思っていたんです!
 天井画が特に素晴らしいです!」


グレイス、君って……本当にいいよね。

母がにっこり笑った。


「ありがとう、天使ちゃん。
 あれはね、法王猊下がいらっしゃる大聖堂の
天井画を描かれた芸術家の弟子の弟子の弟子の」


弟子が5人以上続いたので、数えるのはやめた。
とにかく、凄い金を掛けた造りなのはわかった。

父も金額を聞いて、驚いた様に身を引いたので、具体的な額は知らなかったらしい。
これで国の予算を扱う財務省勤務、て。
(それも役職付き笑)
だから、あの2人に言いくるめられたのだ。


悪いね、父よ。
俺はちょっと貴方に怒っているからね。
今日は辛口です。

母も今、何気に『天使ちゃん』って、言ったね?
言わんでくれと頼んだのに!
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