おかしな婚約破棄の結末は‥⁉︎
キャンディの物語(番外編)
いつだって私に、選択肢はありませんでした。
決められた道を正しく歩くだけ‥。
一歩でも踏み外しては駄目なのです。
お父様とお母様の"理想"に合わせなくてはいけません。
「言う事を聞きなさい」
「しっかりしなさい」
「間違えることは許さない」
「貴女の意見は聞いていないわ」
"躾"という名の体罰。
"貴方の為を思って"という名目での罵倒。
どんな理不尽にも私には"はい"と答えることしか許されませんでした。
いくら頑張ってもゴールに辿り着く事はありません。
それはガレット殿下の婚約者になっても同じでした。
ガレット殿下は明るく元気で、私に新しいことを色々と教えてくれました。
しかし昔から傲慢で我儘なところがありました。
ガレット殿下は元々勉強が嫌いでした。
学園に通い始めると、私に御自分の仕事を任せて遊ぶようになりました。
お父様とお母様は、それでもガレット殿下の機嫌を取るために"何でもやりなさい" "全力を尽くしなさい"と言います。
それでは殿下の為にはならないと思い、何度か気分を損ねない程度に進言しました。
けれどガレット殿下は私の言葉に耳を貸す事はありませんでした。