おかしな婚約破棄の結末は‥⁉︎
「もう、行っても宜しいですか?」


この劇に付き合うのは少々飽きてしまいました。
それにこの人達に合わせていたらアルバイトに遅れてしまいます。


「なんで?シナリオと‥!」

「‥?」

「違う、こんなの‥っ!」

「マドレーヌ、大丈夫か‥?」
 

お姫様が狼狽えていているのか、声を震わせながらブツブツと何かを呟いています。
その異様な様子に周囲は不思議そうにお姫様を見ています。

シナリオがどうとか言ったので、そういう物語を演じているのでしょうか。

というよりアルバイトに遅れたらどう責任を取ってくれるのでしょう。
苛々を募らせながら、その場を立ち去ろうとした瞬間でした。




ーーーパシッ




何故か荒々しい王子様は焦った表情を浮かべながら私の腕を掴んでいます。

別れたいと言ったり引き留めたり、この王子様は先程から一体何がしたいのでしょう。


「離してください」

「ま、待て‥!」

「いいえ、待ちません」


自慢ではないですが、力は強い方です。
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