【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
「エルモ、帰ろうか」
「うん」

 村までの帰り道。二人、手を繋ぎながら黙ったままだった。何度か話し掛けようとしたけど……何も言えなかった。

 隣を歩くグルが息を吸って。
 
「あのさ……エルモがさっきの男の事を話したかったら聞くけど、嫌だったら俺は聞かない」

「グルさん?」

 本当は聞きたいはずだ……あの嫌味なアルベルトの事、アルベルトが言ったあいつの事も。いずれは話さなくてはならないこと。

「私、グルさんに聞いて欲しい……家に帰ったら全部話すわ」

 彼の目を真っ直ぐに見て言った、彼は頷き。
 
「そうか、わかった。……ところで今日の夕飯はどうする?」

 ――夕飯? いきなり話題を変え?

「今日は……チーズ、ハム、レタスがあるから、貰った食パンで挟んでホットサンドを作ろうかな? ゆで卵を挟むのもいいよね」

「おお、うまそうだ。早く俺達の家に帰ろう。コーヒーは俺が入れるから。ホットサンドはエルモな。後サラダとスープも欲しい」

「サラダとスープか、いいね! ……はぁ、お腹空いた。グルさん、早く家に帰りましょう!」

 二人の足はどんどん村に向けて、早足になるのだった。
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