【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
三十四 村に咲いた真っ白な花
花見当日。精霊の森からグルの転移魔法で村まで移動した。
待ち構えていたグレとチタは、待っていましたと言わんばかりに私とグルに抱きついた。
「きゃっ、グレちゃん、チタちゃん!」
「チタ、兄貴?」
二人の瞳はキラキラ光り、興奮しているのがわかる。
そして、グレは小さな体でグルのズボンを引っ張った。
「グル、エルモちゃん、こっち来て、スゲェぞ!」
「そう、そう、驚いちゃって泣いちゃうかも!」
グレとチタが前を歩き、その後ろを着いていくと、村の中央の木――フェリチタの木に真っ白で、桜に似た花が満開に咲いていた。
「キレイ、すごくきれい……こんなに綺麗な花を咲かすのね」
「ああ、綺麗だな……クッ、昔をおもいだす」
フェリチタの花をみて、昔を思いだして目頭をこすった。
そんなグルの姿をみて、グレとチタも涙目になって、みんなで泣き笑いしていた。
(よかったね、グルさん、グレちゃん、チタちゃん)
グルは静かなエルモに気付き、目を細める。
「ちょっ、エルモ、泣きすぎ!」
「ふぇ?」
グルに言われるまで気付かなかった……
「わぁ、ほんとうだ」
「アハハッ、ボロボロだぁ!」
「だって……うれしいの」
(嬉しくて、涙がとまらない。……ほんとうに好きで、この村のスチルを画面越しに眺めていた。その花が私の目のまえで咲いている……こんな幸せなことはないわ)
「エルモ……」
「グルさん、グレちゃん、チタちゃん……村のみんなだって……このフェリチタの花をみて喜ぶわ」
涙でボロボロの顔で笑った。
「そうだな、エルモちゃん。村のみんなもぜったいに喜ぶ! 今度の満月は村で酒を酌み交わそう!」
「いいね、いいね! こんどの満月はにぎやかになる!」
「いいな。俺からばっちゃんに話しておくよ。みんな喜ぶぞ!」
「ああ、よろこぶな。でも、オレはもっとみんなを喜ばす方法を知っているぞ。グルとエルモちゃが……」
と言い。
グレは私たちに向けて口を何度も尖らした。それはまるで私とグルにキスしろといっているみたい。
そんなグレを見たチタも悪ノリして。
「黒ちゃんとエルモちゃん、チュウだ。いまここでチュウするの!」
「「えっ!」」
グレとチタは――しばらく"チュウチュウ"とうるさかった。
待ち構えていたグレとチタは、待っていましたと言わんばかりに私とグルに抱きついた。
「きゃっ、グレちゃん、チタちゃん!」
「チタ、兄貴?」
二人の瞳はキラキラ光り、興奮しているのがわかる。
そして、グレは小さな体でグルのズボンを引っ張った。
「グル、エルモちゃん、こっち来て、スゲェぞ!」
「そう、そう、驚いちゃって泣いちゃうかも!」
グレとチタが前を歩き、その後ろを着いていくと、村の中央の木――フェリチタの木に真っ白で、桜に似た花が満開に咲いていた。
「キレイ、すごくきれい……こんなに綺麗な花を咲かすのね」
「ああ、綺麗だな……クッ、昔をおもいだす」
フェリチタの花をみて、昔を思いだして目頭をこすった。
そんなグルの姿をみて、グレとチタも涙目になって、みんなで泣き笑いしていた。
(よかったね、グルさん、グレちゃん、チタちゃん)
グルは静かなエルモに気付き、目を細める。
「ちょっ、エルモ、泣きすぎ!」
「ふぇ?」
グルに言われるまで気付かなかった……
「わぁ、ほんとうだ」
「アハハッ、ボロボロだぁ!」
「だって……うれしいの」
(嬉しくて、涙がとまらない。……ほんとうに好きで、この村のスチルを画面越しに眺めていた。その花が私の目のまえで咲いている……こんな幸せなことはないわ)
「エルモ……」
「グルさん、グレちゃん、チタちゃん……村のみんなだって……このフェリチタの花をみて喜ぶわ」
涙でボロボロの顔で笑った。
「そうだな、エルモちゃん。村のみんなもぜったいに喜ぶ! 今度の満月は村で酒を酌み交わそう!」
「いいね、いいね! こんどの満月はにぎやかになる!」
「いいな。俺からばっちゃんに話しておくよ。みんな喜ぶぞ!」
「ああ、よろこぶな。でも、オレはもっとみんなを喜ばす方法を知っているぞ。グルとエルモちゃが……」
と言い。
グレは私たちに向けて口を何度も尖らした。それはまるで私とグルにキスしろといっているみたい。
そんなグレを見たチタも悪ノリして。
「黒ちゃんとエルモちゃん、チュウだ。いまここでチュウするの!」
「「えっ!」」
グレとチタは――しばらく"チュウチュウ"とうるさかった。