【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
 彼らと離れ、ひとりで過ごす時間が増え行動範囲が広がったお陰か、学園で親しい友人が出来た。

『エルモ様はいつも素敵ね』
『あら、急に何を言い出すの?』

 授業がない日はその子達と学園のテラスで、楽しいお茶の時間を過ごした。

『エルモ様、アメリヤさんはいつもあなたの話ばかりよ』
『ちょっと、なにをいうのですか!』
『あら、そんなに嬉しい事をおっしゃらないで、顔がにやけてしまいますわ』

 さいきん親しくなった彼女たちは乙女ゲームの上で、ヒロインに婚約者を奪われ悪役令嬢エルモの取り巻きになる令嬢たち。
 穏やかで、優しい彼女たちがエルモのせいで、ヒロインを憎んだり恨んだりしてほしくない。

(恨みごとは心をこわして、表情などを暗くしてしまうもの)

 まあ、彼女達の婚約者はいまもヒロインとの噂が絶えないけど。
 エルモのように泣かずに幸せな日々を送って欲しい。

『エルモ様、書庫で本を読みませんか?』
『書庫ですか? いいですわね』
『ここの、ケーキ美味しいですわ』
『そうなの。こんど、みんなでいきましょう』

 彼女達のおかげで落ち込んでいた――心は軽くなったわ。
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