【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)

三十五

 グレとチタ。二人に"チュチュ"と茶化されて、エルモは顔を真っ赤にして「ここではしない!」って、楽しげ逃げる二人を追い回した。

「ウワァ、チタ! エルモちゃんが追ってくるぞ!」

「ほんとうだぁ、キャー、キャー!」

「逃げるなぁ! グレちゃん、チタちゃん!」

 ふと、逃げるふたりを見ていて、子供の頃に遊んだ鬼ごっこみたいだと思い。

 近くでみんなを見て楽しむグルの手を掴んだ。

「フフッ、グルさん、つかまえーたぁ! 次はグルさんが鬼ね。グレちゃん、チタちゃん逃げるぞ!」

「「鬼?」」

 みんなは鬼ごっこを知らず不思議な顔をした、そこで、口早に説明をする。

「鬼に捕まらなく逃げるの! 鬼に捕まった人が次の鬼なるの。最後まで鬼だった人が負けね! 時間はいまから三十分!」

 みんなはいまの説明でわかったのか、エルモの掛け声にグルから逃げていく。

 グルはまずグレを追っかけるが小さく、素早っこくて捕まらない。チタも逃げ足が早く捕まらず。グレはエルモを追っかけた。

「エルモ、まて!」

「グルさんには捕まらないわぁ!」

 逃げ回って、チェリチタの木の下で捕まった。というより、手を引かれたはずみでグルを押し倒した。

 そして、お決まりのハプニングキスをして、チェリチタの木に"ポポン"と花を咲かせたのだ。

(あれ程、人前でキスをするのは恥ずかしい! って言っておきながら……な、なんて、ベタベタな展開でキスしちゃうの!)
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