【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)

三十八 大精霊シルワ様

 ワタシは精霊界に何人かいるうち、聖霊の森の守護者ーー大精霊シルワだ。

 白、黒は五歳の時に両親をなくして、ワタシのケンゾクにした。

 二人の魔力、能力は精霊並みに高く、守らないと、悪い人間に捕まり利用される。

 ワタシが守護する森は平和だった。

 ――それから、程なくして。ケガをした白を助けてくれたあの子にお礼で加護を与えたが――その能力を過信し始め、己の欲のため使うようになった。

 こちらが彼女を森に招待したのに。
 彼女は白の真剣な告白を台無しにして、バカにした、ワタシが与えた加護は返してもらったよ。

 しかし。これは、まずいことになった。

 精霊の森に住む、村の位置が人にバレたかもしれない。

 国は違うとはいえ「もし人間が襲いにきたら?」と考えた私は仲間と協力して姿を隠し、村の者たち、白と黒を守るため、罰という形でしばらく人の里での暮らしをしてもらっている。

 それなのにみんなはワタシの考えを理解して、白と黒に文句を言わずにいてくれて、とても感謝している。

 白、森に現れはじめた魔物を退治してくれてありがとう。

 黒、村の見回りたすかる。
 村の者たちがなかたがいをせず、満月の夜に酒を交わす姿には涙した。

 そして、いま黒にいい人が現れたと火の精霊たちに聞き、確かめにきている。
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