【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)

四十一

 唐揚げとカツ、野菜の下ごしらえが終わった。グルは奥の部屋に行き銀色の指輪を持ってくると、エルモにみせた。

「はい。この前に言っていた、姿替えの指輪ができたよ」

「姿替えの指輪? ……え、もうできたのですか?」
 

 ――グルさんに、まだネックレスのお礼もできていないのに。


 少し困惑気味のエルモにグルは「エルモに何かあってからでは遅いからね」と言い、指輪の説明をはじめる。

「この指輪の使い方は――指輪に五秒くらい触れると姿が変わるようにしたから。今夜の宴会のときにでも試してみるといい、戻るときはもう一度、指輪に触れば戻るから」

 五秒くらい指輪にふれて、戻るときも触れる。

「わかりました……指輪に触れるのですね。グルさん、ありがとう」

 と、グルはエルモの手を取ると、その指輪を左手の薬指にはめた。

 その位置、グルは知っているのか知らないのかわからないけど、サラッとつけられてしまいエルモは悩んだ。

 ――指輪の場所の意味を知っているの?

 しかし、そのエルモの悩みはすぐになくなる。
 グルの左手の薬指に同じ指輪が付けられていたのだーーえっ、ええ「俺とおそろいな」照れるエルモと嬉しそうなグル。

 それをグレは気付いたが茶化さず、二人をやさしく見つめたいた。
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