【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
「時間だ、待ち合わせの場所に行こう」
「はい!」
「おう!」
夕方――下ごしらえができて村の中央に向かった。村のみんなも徐々に集まってきた。
皆んなの持ち物。リュック、肩掛けカバンをパンパンにして持ってきている。
それは、エルモたちもで――夕飯、寝泊まり用の寝袋などを準備していた。
グルは中央に集まったみんなを見渡して。
「よし、ばっちゃん、みんなも揃ったな? いまから転移魔法で精霊の森に移動します」
「よろしくな、グル」
「「よろしく、グル!」」
グルは杖を取りだして魔法を唱えると、村を覆うほどの魔法陣が現れて、みんなを一瞬で精霊の森の前まで運んだ。しばらく森の前で休憩して村まで転移魔法した。
「「!」」
久しぶりに村に帰ってきた、ばっちゃんの村のみんなは花を咲かせたチェリチタの木をみて、大喜びして大泣きした。
「グル、グレ、昔のように綺麗な花だ……」
「ばっちゃん、泣くなよ」
「そうだよ、ばっちゃん!」
グルとグレはお年寄り、大人と子供らが泣きながらはしゃぐ姿をみて微笑み、目頭を押さえていた。
みんなは口々に「グル、エルモちゃん、ありがとう! 二人の愛のおかげだ!」といいだす。
「そうだな! グルとエルモちゃんの愛のおかげだ! 二人は婚約もしたみたいだし!」
「「こ、婚約!」」
グレのいきなりの爆弾発言。
おそろいの左手の薬指の指輪をみた、みんなは驚き、いっきに祝福モードに切り替わる。まだ日暮れまえなのに宴がはじまった。
グルは、みんなの中心にいるグレをみて。
「なんだ兄貴は気付いていたのか……でも、エルモと婚約か、いいな。フェリチタの下で精霊に誓い、俺と婚約するか?」
――グルさんと婚約?
「嬉しい。精霊に誓いましょう、グルさん」
みんなに見守られながら、エルモはこの日――グルの正式な婚約者になった。