【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)

四十五

 宴のみんなに気付かれず森に隠れた村。
 シルワは森に訪れた人の目的がわかっていた。それは一ヵ月前――他の森の大精霊に警告を受けたのだ。  

『「毒草を集めるなど……人間はおかしなことをしますね。シルワ気を付けてください」』

『それは、どう言うことです?』

 詳しく話を聞くと。人間は知ることがない、ソソル草とモンリス草の毒草をもとめた者がいる……と。

『それは本当ですか?』
『ほんとうの話です。まったく厄介なこと』

『助かります、教えてくれてありがとう』

 それなら黒き精霊獣ーーグルの血を守らなくてはならない。彼は珍しい闇の力を持つからね。
 いまはワタシのケンゾクとなり、愛するエルモがいるから、その闇の力は抑えられている。

 グルの力がひとたび暴走すれば、彼は魔王となり、人間たちに災いをもたらすだろう。
 そうなれば。いまのように、ここでの暮らしはできなくなる。
 とうぜん、エルモちゃんとも別れなくてはならない。
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