【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
その一言だった――立ち話をしていたお母様が一瞬、こちらを向いたのだ。
しかし、いまのエルモは黒い髪を束ね、エメラルド色の瞳の女性で、昔とは違い質素なワンピースを着ている。
お母様が自分の娘だと気付くはずがない。
あなたの娘は婚約破棄後に屋敷を追い出されて、どこかにいってしまったのだ――追い出した本人は、エルモのことなど忘れているに決まっている。
貴族とはそういうも。
家の近くを通りぬけ進むと行き交う貴族馬車、商人の荷馬車が増え、レンガで舗装された道に変わっていった。
もうすぐ、ファーレズの王都に着く。
「グルさん、グレちゃん。あと二、三時間で王都に着くわ、気を引き締めなくっちゃ」
「そうだな。城にはいり、すばやく毒草をみつけないと」
「いや、みつけなくても毒草はすぐに見つかると思うぞ、グルがアルベルトに変化して、オレを"捕まえた"とあの子のところまで連れていけばいい」
「ゲッ、俺がアルベルトになるのか……ものすごく不本意だが、その方法しかないよな。グレはあの子に会うの嫌じゃないのか?」
あの子? あ、リリアのことね。
「嫌だけど、シルワ様に頼まれたことだ、任務はしっかりやる。…………あ、もう一、案はつあるぞ……グルが変身したアルベルトが「エルモちゃんを連れてきた」と伝えて城にはいる。まあ、おまえの大、大、大嫌いな男に会うことになるけどな」
グルはそう言われて嫌がると思ったけど、ニヤリと笑い。
「その方法でいいんじゃないのか? エルモを傷付けたやつに、俺が直々お灸を据えてやる」
「それいいな、オレも参加したい」
ニシシッと笑い。グルは魔法で、グレは爪で引っ掻き攻撃でと、エルドラッド殿下討伐の話で盛り上がる。
話はだんだんと噛みつく、魔法で眠らせて裸で外に出す、などなど……となりで話を聞くエルモは驚くことばかり。
「ちょっと、グルさん、グレちゃん物騒だよ。仮にもファーレズ国の王子? 皇太子なんだからね」
「フン、俺の知ったことじゃない!」
「そうだ、そうだ!」
「二人が捕まっちゃうのはやだ」
と言っても話を聞かない二人は。
「「そこは大丈夫、捕まらない程度にやる」」
だそうだ。
「心配しているのに……もう、しらない」
「冗談だから、怒るなよエルモ」
「そうそう、怒らないの」
三人で和気あいあいと進み、ファーレズ国の王都の門が遠くにみえてきた。
しかし、いまのエルモは黒い髪を束ね、エメラルド色の瞳の女性で、昔とは違い質素なワンピースを着ている。
お母様が自分の娘だと気付くはずがない。
あなたの娘は婚約破棄後に屋敷を追い出されて、どこかにいってしまったのだ――追い出した本人は、エルモのことなど忘れているに決まっている。
貴族とはそういうも。
家の近くを通りぬけ進むと行き交う貴族馬車、商人の荷馬車が増え、レンガで舗装された道に変わっていった。
もうすぐ、ファーレズの王都に着く。
「グルさん、グレちゃん。あと二、三時間で王都に着くわ、気を引き締めなくっちゃ」
「そうだな。城にはいり、すばやく毒草をみつけないと」
「いや、みつけなくても毒草はすぐに見つかると思うぞ、グルがアルベルトに変化して、オレを"捕まえた"とあの子のところまで連れていけばいい」
「ゲッ、俺がアルベルトになるのか……ものすごく不本意だが、その方法しかないよな。グレはあの子に会うの嫌じゃないのか?」
あの子? あ、リリアのことね。
「嫌だけど、シルワ様に頼まれたことだ、任務はしっかりやる。…………あ、もう一、案はつあるぞ……グルが変身したアルベルトが「エルモちゃんを連れてきた」と伝えて城にはいる。まあ、おまえの大、大、大嫌いな男に会うことになるけどな」
グルはそう言われて嫌がると思ったけど、ニヤリと笑い。
「その方法でいいんじゃないのか? エルモを傷付けたやつに、俺が直々お灸を据えてやる」
「それいいな、オレも参加したい」
ニシシッと笑い。グルは魔法で、グレは爪で引っ掻き攻撃でと、エルドラッド殿下討伐の話で盛り上がる。
話はだんだんと噛みつく、魔法で眠らせて裸で外に出す、などなど……となりで話を聞くエルモは驚くことばかり。
「ちょっと、グルさん、グレちゃん物騒だよ。仮にもファーレズ国の王子? 皇太子なんだからね」
「フン、俺の知ったことじゃない!」
「そうだ、そうだ!」
「二人が捕まっちゃうのはやだ」
と言っても話を聞かない二人は。
「「そこは大丈夫、捕まらない程度にやる」」
だそうだ。
「心配しているのに……もう、しらない」
「冗談だから、怒るなよエルモ」
「そうそう、怒らないの」
三人で和気あいあいと進み、ファーレズ国の王都の門が遠くにみえてきた。