【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
「お嬢さん、こっちじゃ」
「は、はい」

 地主のおばちゃんの案内で家を見に来たけど、着いたところは丘の上に立つ立派な一軒家の前だった。

 屋根と外壁は壊れていないし、見れば見るほど立派な家。
ここに"タダ"で住めるならお化けが出ても大丈夫だ。

「いま、鍵を開けるからの」
「お願いします」

 おばちゃんに鍵を開けてもらい中を見渡した、家のなかも外と同じで空き家とは思えないくらいに綺麗だ。

(カビ臭くもなく、家具や、必要な物が揃っている)

 ここに住みたいと伝えると、地主のおばちゃんは『ふぉっふおっ』と笑い。

「そうかい気に入ってくれたのかい、お嬢ちゃんがいいのなら……タダでいいよ」
「え?」

(……この家がタダ?)


 ちょっと待って。

 上手い話には裏があるとエルモは一瞬だけ思ったけど、すぐに考えを変えた。
 何かあったらその時に考えれば良い。
 いま返事をしておかないと――こんなに綺麗で、タダの家なんてどこを探しても無いだろう。

「決めました。ここに住みます」

 そう言ったエルモに『ああ、いいよ』と、言い。
 地主のおばちゃんは鍵と「もし何かあったら家においで」と言って帰っていった。

 もらった家を見上げてエルモはニンマリした。
 だって、着いた早々良いことがあったからだ。

「いい家を貰った」

 と、もういちど家の中を詳しく見た。
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