【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
 明日に備えて宿屋で、エルモ達はまったりしていた。

 ベットに寝転び、エルモはひとつ気になることがあった。それは"精霊の森"について――ゲームではヒロインとヒーローが幼い頃、白トラと出会ったところだ。

(ゲームの中で、ヒロインと白トラは普通に会話をしていたけど……リリアさんとグレちゃんでは国と言語が違うわ)

 殿下とリリアはファーレズ国の出身。
 この国の王子が用事もないのに、遠いサーティーアにいくはずもない。

 でも、グルに連れて行ってもらった森は――ゲーム画面でみた"精霊の森"に似ていた。

 今回のことがなかったら、まずファーレズに帰って来ることはなかったから、そのままでも別に問題はなかった。

 ――でも、来てしまったからには気になる。

「ねえ、グルさん。この世界に精霊の森って、いくつもあったりする?」

 隣のベッドで、さっき買った本を読むグルに聞いた。

「ん、あるぞ。精霊が住んでいる森は"ほとんど"精霊の森"と呼ぶ」

「え! そうなの?」

 これは初耳。

「だいたい精霊の森の入り口には目印に、白い花と黄色い花が植えてある」

「白い花と黄色い花?」

 グルは頷き。

「なかにはシルワ様のような大精霊がすむ森もある。その目印は切り株だな。精霊の加護を持つものが、違う精霊の森に行くときは"行きたい森の花、薬草などの植物を持って"精霊に頼むんだ。森の精霊がその森まで送ってくれる……まあ、精霊だけが使える転移魔法のようなものだな」

「精霊たちが使える、転移魔法か……すごいね」

 とても便利だわ――違う国でも森と森で、精霊たちは繋がっている。
 たしかゲームでは、森の入り口に花を置くだけで移動したのよね。
 そうなると。子供のとき怪我をしたグレをたすけて、シルワ様に精霊の加護をもらったリリアはそれを使って、サーティーアに住むグレに会いに行っていた。


(はじめは? グレとリリアはどこで出会ったの?)


 グルと同じベッドにいるグレは。

「懐かしいな。オレ、子供のときからそれを使って、いろんな国の精霊と話すことが好きだった。言葉も精霊同士の言葉があるから、その土地の言語を覚える必要なかったんだ」
 
「精霊語か」
「そうそう」

 グレはそれでファーレズにきてケガをして、ヒロインに助けてもらった。
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