【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
 グルとグレ、エルモに別れてベッドで眠る。
 きょう、王都に来たからかもしれない……この夜、エルモは嫌な夢をみていた。

 それはーー王妃教育を受けに王城へと到着したエルモ。エルドラッドに会うため、メイドと心を躍らせ庭園にむかった。

『エルドラッド様、お待たせいたしました……』

『なんだ。もう、来たのか……』

 一人でいるはずのエルドラッドの前にはリリアがいた。二人は楽しげに庭園のテラスでお茶をしていた。

(エルドラッド様はまたリリアさんと一緒ですのね。でも、ここで文句をいうと……彼は機嫌を悪くして……王妃教育中、ずっと文句をいわれるわ)

 彼らにみえないように唇を噛んだ。

 こんな気持ち……はやく、私の心からなくなればいいのに。辛いのは嫌なの……苦しいのもいや……なの。

「……エ、ルモ……、エルモ!」

 だ、誰かが私を呼んでいる。

「エルモ!」


「…………っ」


「嫌な夢をみているのか……大丈夫だ、俺がそばで守ってやる」


 ――グルさんの声だ。


 私の大好きな人……夢か本当かはわからないけど、彼とくっつきたくて手を伸ばした。その手はグルに握られ、優しく抱きしめられる。

 いつもの香り。温かくて安心する……すぐに嫌いなエルドラッド、リリアは消え、グルさんでいっぱいになり、ぐっすり眠れた。
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