【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
 しかし、リリアはサーティーア語がわからないのか首を傾げ。

「んーー? ティーグルが何を言っているのかわからないけど。リリアわかっちゃった、ティーグルがあたしに会いにきたのは――あたしの聖女の力が必要になったんでしょう? それっきゃない!」

 ひとさし指を前にだして、瞳を輝かせるリリア。

 乙女ゲームの心優しいリリアになら、聖女の力はあったかもしれないけど。

(癒しの力は消えたんじゃないかな? みえていたはずの、グレちゃんの姿が"いま"みえないのだもの)

「さっきからなにを言っているのかわからん。俺をティーグル、ティーグルと呼びやがって」

 部屋の中を覆うようにグルから黒い煙が漏れ出す。それを吸った給仕が一人、一人と倒れる。

 いま、アルベルトの格好だけど……抱きついてら効果あるかな?

 どうしていいかわからず焦っていたら、いきなりグレが胸からとび出し、グルにキックした。

「いてぇ、兄貴、なにしやがる!」

 グレはとめず、ポカポカ殴り。

〈バカ、グル! なにをする為にオレ達はここに来た? 目的があるんだろ、落ち着け。巻き込むつもりか? そばに大切なエルモちゃんもいるんだぞ〉


「あ、エルモ」
 

 アルベルトの私をみて、少し眉をひそめたけど……落ち着いたようだ。
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