【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)

五十七

 リリアにかけられた紫の液体がーー焼けるような痛みを広げ、エルモの身体中に広がる。

 あの毒草か? 熱病になる毒草を二種類もリリアは混ぜて毒薬を作ったのね。

 ほんらいなら、これにグルの血を混ぜて『熱病』の猛毒薬ができる。



「フフ、フフフ、エルモ、ざまぁ~。ハハハッ、うけるぅ~」

 狂気に満ちた、リリアの笑い声が聞こえた。
 彼女は見せつけるようにオペラグローブを脱ぐと、彼女の腕から手は紫色に変色している、毒に侵されてるのだ。

 リリアのあの手は……ゲームでのエルモと同じ……一度、毒に触れてしまうと治らない。
 
「エルモ?」

「ダメ、私に触らないで! グル、グレちゃん、触れずに離れて!」

 そう言って、二人を離れさせようとした……のに。

 彼らは離れるどころかエルモの体に触れた。
 私に触れてば毒をうけてしまうのに、それなのに二人はエルモに躊躇せずふれた。
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