【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
その様子をみていたリリアはギリッと、音が聞こえるくらい歯を食いしばる。
「なんで、なんで、エルモがその聖女の力を使えるの?……その力は私のものなの。私の力なの! あなたはどうせ頑張ってもあたしになれない! エルドラッドだってあなたの元には帰らない!」
あんなにただれていた、リリアの手も綺麗に治っていた……それが、ますます彼女を苛立たせたようだ。
「私は誰にでも愛されるヒロイン……欲しいものはなんでも手に入るの……」
「…………」
――ああ、そうか。
彼女はまだ乙女ゲームの中から抜け出せないでいる。学生のときは笑えば彼女の周りには人が寄ってくる、泣いて頼めば周りが助けてくれる。
学園が終わり、その夢のような時間は終わった。最後にあなたはエルドラッドを選んだのだ。リリアは皇太子妃、王妃になるための準備を始めなくてはならない。
――だって、望んで、選んだのはあなただ。
王妃教育がキツくて、ゲームの様に毒草をまいて熱病を治して人々に感謝され、簡単に地位を確定しようと思ったのだろうけど。
それはさせない。あなたはこれから血反吐を吐くぐらい厳しい、王妃教育をうけなさい。
「フン、なにがエルドラッド? エルモはそんな奴のことはとうの昔に忘れたぞ。俺たちは国に戻って幸せになるだけだ。おまえだって好きな相手がいるのなら、大切にすればいいだろう?」
〈そうそう、毒草なんかに頼らずにね〉
グルとグレにそうだと頷き。
「リリア様、私はエルドラッド殿下のことは忘れました。いまは、優しい旦那様とサーティーアで普通の暮らしができてばいいの。リリア様も前を向いて自分の道を歩いてください」
深々、彼女に頭を下げた。
「なんで、なんで、エルモがその聖女の力を使えるの?……その力は私のものなの。私の力なの! あなたはどうせ頑張ってもあたしになれない! エルドラッドだってあなたの元には帰らない!」
あんなにただれていた、リリアの手も綺麗に治っていた……それが、ますます彼女を苛立たせたようだ。
「私は誰にでも愛されるヒロイン……欲しいものはなんでも手に入るの……」
「…………」
――ああ、そうか。
彼女はまだ乙女ゲームの中から抜け出せないでいる。学生のときは笑えば彼女の周りには人が寄ってくる、泣いて頼めば周りが助けてくれる。
学園が終わり、その夢のような時間は終わった。最後にあなたはエルドラッドを選んだのだ。リリアは皇太子妃、王妃になるための準備を始めなくてはならない。
――だって、望んで、選んだのはあなただ。
王妃教育がキツくて、ゲームの様に毒草をまいて熱病を治して人々に感謝され、簡単に地位を確定しようと思ったのだろうけど。
それはさせない。あなたはこれから血反吐を吐くぐらい厳しい、王妃教育をうけなさい。
「フン、なにがエルドラッド? エルモはそんな奴のことはとうの昔に忘れたぞ。俺たちは国に戻って幸せになるだけだ。おまえだって好きな相手がいるのなら、大切にすればいいだろう?」
〈そうそう、毒草なんかに頼らずにね〉
グルとグレにそうだと頷き。
「リリア様、私はエルドラッド殿下のことは忘れました。いまは、優しい旦那様とサーティーアで普通の暮らしができてばいいの。リリア様も前を向いて自分の道を歩いてください」
深々、彼女に頭を下げた。