【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
 今日は疲れているし。掃き掃除だけにして明日にでも地主のおばちゃんに聞けばいいやと諦め、持って来たトランクケースを整理することにした。
 
 トランクケースの中身は両親が最後にくれた少しばかりのお金と、売れそうな私物、お洋服と下着が数枚はいっている。

(ついて早々、家は見つかったし。これらの私物を売ればしばらく働かなくてもいいわね?)
 
 いいよね、のんびりしても。

 朝はお寝坊をして一日中だらだらとベッドに寝転んで好きな本を読み、たまに部屋のお掃除をして好きなものを食べる。

 こんな生活にあこがれていた。

 縁側は無いから庭先でボーッと椅子に座って日向ぼっこがしたい。
 その生活をする為に前世で培った"節約術"を役立てるときがきた。

 いくつか思い出したし、料理は趣味だったからパンを焼き、畑に種を撒いて、野菜を育てるスローライフ。

 食べる物も着る物だって気にしない。
 いまあるものをなおして、繕って使えばいい。

 トランクケースの中から紙で包んだ、小振りなフランスパンを出してキッチンの上に置いた。

「ふうっ……」

(今日は移動で疲れたから、早めに寝よう)

 明日になったら地主のおばちゃんの所を訪ねて、水道とガスのことを聞いて。
 その後は村をまわって、野菜を売ってもらえないか聞こう。
 
 着ていたワンピースを脱ぎ、椅子にかけて、お布団にもぐる。

「んん、お日様のにおい」

 干して、ふかふかになったベッドで眠った。

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