【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
これが最後だと、エルモはエルドラッドに気持ちを伝えた。
「エルドラッド皇太子殿下、私は王妃になりたかったわけではありません。学園に入学するまで殿下をお慕いしていたからです。あなたの隣に立ち、あなたを支えたかった……それだけの思い出で、王妃教育を受けいました」
「…………」
「学園を卒業して――殿下に婚約破棄されてからはどうでも良くなりましたわ……屋敷も追い出されました。エルドラッド皇太子殿下、これからは最愛のリリア様と共にファーレズ国をお守りくださいませ――行きましょう、旦那様」
「リリアは無理だ、王妃教育を受けたがらない」
「そんなのあたりまえだわ!」
きびしく、むずかしい王妃教育。
私だってなん度も根を上げて、逃げたいとも思った。
あなたが「一緒にがんばろう」と言ってくれた。その、優しい言葉を胸に必死に食らいついたのだ。
「いまいちど、お考えくださいませ。私は殿下の婚約者となってから十年以上をかけておぼえてきました。その膨大な量をリリア様が一年やそこらで覚えられるはずかありません。――殿下は人と比べるのではなく、隣で手をとり助けてあげてください。あなた達もいずれ夫婦となるのでしょう? あの日、選んだのはエルドラッド皇太子殿下、あなたです」
「…………」
「あの日、あなたが婚約破棄しなければ、なにも変わらなかった。しかし、あなたは私ではなくリリア様を選んだのですわ。だったら、できないからと放置するのは酷すぎます。愛する、彼女を大切にしてあげてくださいませ」
この人の前で涙を流したくなかった……でも、瞳からポタポタ涙があふれる。
それはエルドラッドを思ってではなく……つらかった、王妃教育を思い出したからだ。
――言いたいことは言い尽くした。
グルはなにも言わず、流れでた涙をハンカチで拭いてくれた、優しいグルを見上げて"にへへっ"と笑った。
「ありがとう、グル」
つづけて――ここにいる、グルとグレちゃんにしか伝わらないサーティーアの言葉で。
「グルが一番大好きだよ」
「……おっ、おお、俺もエルモが大好きだ」
「うん、知ってる。さぁーて、グル、グレちゃん帰ろう」
足元に戻ってきたグレちゃんを抱っこして、隣でグルが杖をだし詠唱を始めると、足元に転移魔法の魔法陣があらわれる。
自分に力がないと知ってから、ずっと呆けているリリアにエルモは声をかけた。
「リリア、王妃教育は一筋縄じゃいかないからがんばって。二度とあの毒草を触るな、今度は助けないよ。それと、出番の終わった悪役令嬢に頼らないの。あなたはこのゲームのヒロインなんでしょう!」
エルモと、リリアにとっては懐かしい言葉で。
それを聞いて"ハッ"と顔をあげたリリアに"バイバイ"と手を振り、私たちはきえた。
「エルドラッド皇太子殿下、私は王妃になりたかったわけではありません。学園に入学するまで殿下をお慕いしていたからです。あなたの隣に立ち、あなたを支えたかった……それだけの思い出で、王妃教育を受けいました」
「…………」
「学園を卒業して――殿下に婚約破棄されてからはどうでも良くなりましたわ……屋敷も追い出されました。エルドラッド皇太子殿下、これからは最愛のリリア様と共にファーレズ国をお守りくださいませ――行きましょう、旦那様」
「リリアは無理だ、王妃教育を受けたがらない」
「そんなのあたりまえだわ!」
きびしく、むずかしい王妃教育。
私だってなん度も根を上げて、逃げたいとも思った。
あなたが「一緒にがんばろう」と言ってくれた。その、優しい言葉を胸に必死に食らいついたのだ。
「いまいちど、お考えくださいませ。私は殿下の婚約者となってから十年以上をかけておぼえてきました。その膨大な量をリリア様が一年やそこらで覚えられるはずかありません。――殿下は人と比べるのではなく、隣で手をとり助けてあげてください。あなた達もいずれ夫婦となるのでしょう? あの日、選んだのはエルドラッド皇太子殿下、あなたです」
「…………」
「あの日、あなたが婚約破棄しなければ、なにも変わらなかった。しかし、あなたは私ではなくリリア様を選んだのですわ。だったら、できないからと放置するのは酷すぎます。愛する、彼女を大切にしてあげてくださいませ」
この人の前で涙を流したくなかった……でも、瞳からポタポタ涙があふれる。
それはエルドラッドを思ってではなく……つらかった、王妃教育を思い出したからだ。
――言いたいことは言い尽くした。
グルはなにも言わず、流れでた涙をハンカチで拭いてくれた、優しいグルを見上げて"にへへっ"と笑った。
「ありがとう、グル」
つづけて――ここにいる、グルとグレちゃんにしか伝わらないサーティーアの言葉で。
「グルが一番大好きだよ」
「……おっ、おお、俺もエルモが大好きだ」
「うん、知ってる。さぁーて、グル、グレちゃん帰ろう」
足元に戻ってきたグレちゃんを抱っこして、隣でグルが杖をだし詠唱を始めると、足元に転移魔法の魔法陣があらわれる。
自分に力がないと知ってから、ずっと呆けているリリアにエルモは声をかけた。
「リリア、王妃教育は一筋縄じゃいかないからがんばって。二度とあの毒草を触るな、今度は助けないよ。それと、出番の終わった悪役令嬢に頼らないの。あなたはこのゲームのヒロインなんでしょう!」
エルモと、リリアにとっては懐かしい言葉で。
それを聞いて"ハッ"と顔をあげたリリアに"バイバイ"と手を振り、私たちはきえた。