【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
 グルは一瞬エルモの格好をみて、眉をひそめたが。

「はい、エルモ、ベッドからおりて着替えて」

「……う、ううっ、わかりました」

 渋々ベッドから降りて、昨日着ていたワンピースに着替えようと手にとったけど、なぜか湿っていた。

(あれ、ワンピースが濡れているわ?)

 不思議に思い、湿っているワンピースを広げて確認していた。
 そのエルモの姿を見て、グルは「あっ、それ!」と声をあげた。

「どうかした?」

「いや、それ、タオルじゃなかったんだな……ごめん。昨夜、それで濡れた体を拭いた……ごめん」

 えっ。

 なんども謝り、申し訳なさそうなグルの顔に。

「………フ、フフッ、犯人はグルさんだったのですね」

「……ごめん」
「大丈夫ですよ。洗濯をすれば、まだ着られますから」

 部屋の隅に置いておいたトランクケースを開けて、新しいワンピースをとり出して着替えた。

「準備できたな、行くぞ」
「は、はい」

 エルモは先をゆくグルのあとについて村の西側にある、オレンジ色の屋根の地主の家に向かった。
 
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