【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
「ばっちゃん!」

 グルは地主の家に着いたそうそう乱暴に玄関を開けて「いるか?」と聞いて、相手の返事はまたず家の中にはいってしまう。
 そして、居間のちゃぶ台でお茶を飲む地主のおばちゃんをみつけると、その前にドカッと座った。
 地主のおばちゃんもいつものことなのか、のんびり茶飲み。

「なんだ、うるさいと思ったらグルか。朝っぱらなんのようだい?」

「ばっちゃん。俺は四日前、家を出るときばっちゃんに、薬草採取に行くと伝えたよな? なんで、俺の家をお化け屋敷だと、変な作り話までつくった!」

 怒ったように話しかけたグルに対して、おばちゃんはエルモを見で微笑み。

「その子、可愛い子じゃろ? ………お、そうじゃ、グル、ちーとこっちに来い」

 おばちゃんはグルに手招きして、彼を近くに呼び耳打ちした。
 エルモには声が小さくて聞こえないけど、話を聞いたグルは一瞬で顔を真っ赤にすると。

「はあ? おい、い、いきなりなんてことを言うんだ、既成事実だなんて……ばっちゃん、まえから余計なことはするなって言っているだろう」   

 既成事実だと、訳のわからないことを叫んだ。

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