【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
「あの、グルさん、おばちゃん。なんでもしますから、私に仕事が見つかるまでのあいだ、どちらかの家に置いてくださいませんか?」
 
「なんでも? 仕事が見つかるまで? いいけど、うちは狭いでよ……」

 と、おばちゃんはチラッとグルを見た。

 みられたグルは頭をポリポリかき「ハァ―――ッ」とため息をつき。

「わかった、エルモが嫌じゃなかったら家にくればいい。俺はまた明日から、二、三日ほど薬草を摘みにでて家を開けるから……」

「いいの? ありがとう助かります」

 でも、それに甘えてはいけない。

(すぐに住み込みで働ける仕事を探しにいかないと……そうだわ、近くの街にでて仕事を探してみよう)

「グルさん、おばちゃん、私はこれで失礼します」
「あ、エルモちゃん、すまなかったな」

「いいえ、気にしないでください。ダメなのなら、あたらしい場所を探せばいいだけですから……グルさん、帰りは夕方くらいになると思います」

「……お、おう、わかった」
「では、ごきげんよう」
 
 エルモは日頃から慣れ親しんだ、カーテシーで二人に挨拶した。

 普通の街や村の女の子達はしないことに、このときのエルモは気付いていなかった。
 
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