【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
「すごい、私の声だ」

「おい、貴重な通話カードだ大切に使え」

「はい、では面接を受けに行って来ますね。グルさんもお気を付けて行ってらっしゃい」

「ああ、エルモは変な奴に声をかけられてもついていくなよ。村は安全だけど戸締りもしっかりな」

「分かっています」

 街まで歩きパン屋の開店前の扉を開けて「貼り紙を見ました」と言うと。

 店の、おばさんとおじさんが店の奥から出てきて、人がはけた時に面接してくれた。「毎日働きたい」と伝えると、おじさんとおばさんは見合って微笑み。

「採用ね。エルモちゃん、よろしく」
「これからよろしく頼むよ」
 
「はい、よろしくお願いします」

 パン屋の仕事は週五日で、パンの補充とレジ打ち、仕込んだパンが売れたら仕事はおしまい。

「エルモちゃん、明日の朝六時から来てちょうだいね」

 と、焼き立てのパンを貰った。

 面接が終わり家に着くと、グルは薬草取りに出たあと。

 この、ふっくら焼き立てのパンが食べられないグルには悪いけど。今日と明日、明後日は薬草摘みでいないと言っていたから仕方がない。
 
 キッチンにパンを置くと隅に踏み台が置いてあった。グルが薬草を摘みに行く前に、用意してくれたのだろう。

「ありがとう、グルさん」

 その踏み台に乗り夕食にサンドイッチを作り、コーヒーをいれた。
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