【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
 パン屋を後にして街の入り口に近付くと、見慣れた黒いローブが見えた。

 ――あ、グルさんだわ。

 今日一日は書斎の奥にいるって言っていたのに"お迎え嬉しい"と、はやく彼のところに行きたくて、自然とエルモの歩くスピードが早くなる。

 さいごには我慢できず、近くに行く前にグルを呼んでしまった。

「グルさん!」

 エルモの声に気が付きこっちを向くグル。

「エルモ、終わった?」

「はい、こんなにたくさんのパンをもらいました」

 貰った袋を開けて、パンを見せるとグルは微笑んだ。

「美味しそうだな、コーンスープでも作るかな?」

「コーンスープ? 飲みたいけど。でも、いま持ち合わせが無いです」

「はは、大丈夫だよ」

 グルは村に帰り、八百屋に行くのかと思いきや。
 
「待っていて」と外にエルモを待たせて「ばっちゃん!」と地主さんの家に突撃した。

 しばらくなかで話をして出てくると、グルは隣にあるおばちゃんの畑に入って、トウモロコシ二つとカボチャを採ってきた。

「いいの?」

「ああ、いつもこうやって、ばっちゃんに野菜を貰ってくる」

 平然として言うグルに唖然とした。

「そう驚くなって、ちゃんと手が空いた日には、ばっちゃんの畑の手伝いしてるから」

「そうなんですね」

 今度、エルモもおばちゃんの畑を、お手伝いをしょうと思った。
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