【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
「帰って、昼を食べたら採取に行こうか」

「はい」
 

 草摘みに行くために一旦家に帰り。
 残っている食パンを焼きバター塗り、厚焼き卵サンドとキュウリ、ハムとチーズのサンドイッチを作り、チョコパンもフライパンで外側をカリッと焼いた。

「グルさん、できたよ食べよう」

 向き合ってテーブルに着き「いただきます」と、二人が手を伸ばしたのはチョコパンだった。笑って仲良くチョコパンを食べ、サンドイッチをかじり。

 グルが淹れてくれたコーヒーを飲む。

「ンン、美味しい」
「そうだな……なあ、エルモ」

「ん、なぁに?」
「さっき街で買った服を、着ているところがみたい」

 チラッ、チラッと照れたように、グルはベッドの上の荷物を見た。

「いいけど、採取から帰ってきてからね……後、下着は恥ずかしいから無理」

「……無理? そうかわかった、ワンピースは約束な。後片付けを終えたら森に薬草摘みに行こう」

 お昼の片付けを終えると、グルに森までは"転移魔法"で行くからと言われた。

 家の外で"俺の腰に抱き着け"とグルに言われてしがみつくと。

 「行くぞ」の言葉と、グルが何かつぶやくと足下で魔法陣が光り、一瞬でグルとエルモは森の開けた場所に着いていた。

(あ、この森……)

 エルモはこの森に見覚えがあった。
 ゲームとはすこし見た目がちがうけど、切り株と白い花が森への入り口だった。
 この森――ヒロインと王子が子供の頃、怪我をした白い精霊獣を助けた「精霊の森」に似ている。

 ゲームだと森の奥には精霊と共に暮らす獣人達の村があって、その村に人間が入ってこられないよう森には魔法が掛かっていてた。
 村への入り方は『上上右下左上』順番に森の中を進むと、村に着く仕組みだったはず。

(なつかしい。私は獣人が好きでストーリーを進めず、よく森の奥に村を見に言ったなぁ……この森の奥もそうだったりして)
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