【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
「声はするけど、見た目は火の玉かな?」

「火の玉? 火の精霊の姿は見えないけど声は聞こえるのか……訓練すれば姿がみえるようにかな? エルモ、グレ、コーヒーとチョコパンがあたたまったぞ!」

 ブランケットを羽織ってグレとテーブルに着くと、火の精霊達も笑いながらフワフワついてくる。

「ねえ、グルさん。私もこの子達が見える様になるの?」

「声が聞こえるし、なると思うよ」
「よし、ンンッ、ん? ……あれ、見えない?」

 目を開いたり、目を細めたりしたけど……どうやっても見えない、そんなエルモの姿を見てグレは眉をひそめた。
 
「エルモは何してるんだ?」

「え、精霊達がみたくて……でも、どうやるかは分からないから……とりあえず瞳に力を入れてみたの」

「はぁ?」
「ギャオン?」

「ん、んん!」

 エルモのナゾの行動にグル、グレ、火のチビ精霊達は呆気に取られる。

 ――そして

「ククッ、ハハハッ、まじか!」
「キュー、キュー」

『クックク、面白い人間だな』
『キャハハ! 面白い』

『アハハッ、楽しい!』

 みんなは笑った。

「え、ええ? ひ、酷い……私は真剣にやってるのに!」

「だってなぁ、グレ」
「ギャオーン」

 そう言い返してもみんなの笑い声は止まらない。

 さいごにはエルモまでつられて笑ってしまい、みんなで楽しい夜を過ごした。
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