【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
「エルモ、バスタオルを持って来てくれ!」

『あ、黒ちゃんだ』
『黒ちゃん』

『…黒』

 精霊はグルを"黒ちゃん"と呼んだ、エルモは不思議に思ったけど。

 もう一度グルに呼ばれたので、タオルを持ってお風呂場に向かった。

「グルさん、バスタオル持ってきたよ……あ、」

(……裸!)

「エルモ、悪いがそのタオルでグレを拭いてやってくれ」

「……う、うん、わかった」

 上半身裸で腰にタオルを巻いたグルは、グレを拭いてくれてと体を持ち上げた瞬間、グレはプルプル体を振って、辺りに水しぶきを飛ばした。

「きゃっ、グレちゃん、いま拭くから待って」

「グレ落ち着けって!……エ、エルモ、それ隠せ!」

「え?」

 みるみるグルの顔が真っ赤に染まる……なんと、パジャマ代わりにしているシャツは、グレの水しぶきで濡れて肌着が透けていたのだ。

 そして、いまエルモが着けている下着は……今朝、街でグルに買って貰ったブルーの下着。

(み、見られた……買ってもらったのと、新しい下着が嬉しくって、我慢できなかった)

 エルモはグレを片手で抱きしめ、
 もう片方の手でグルの視界を遮り。

「見ちゃダメー!」

 顔が熱い。

 エルモは顔を真っ赤っかにしたまま叫んだ。
 だってグルにワンピースよりも先に見せてしまったのだ。
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