【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
この世界が乙女ゲームだと知り目覚めると、エルモはエルドラッドのベッドに寝かされていた。
(ここ……エルドラッド様の部屋だわ? あら? みぎてが、あたたかい?)
右手に温かさを感じて目線だけでベッドの脇を見ると、エルモの手を握り締めエルドラッドが寝ていた。
(………ずっと、私の傍にいてくれたんだ)
優しい王子――しかし、エルモは前世の記憶を思い出し、知ってしまった。
この手はいずれエルモから離れていくと。
エルモはエルドラッドとヒロインの邪魔をする悪役令嬢で、彼とは結ばれないのだと。
『……エルドラッド様』
彼の名前を呼べば、寝ていたはずのエルドラッドが勢い良く顔を上げた。
倒れたエルモを心配して泣いたのか……真っ赤な瞳で心配そうに覗き込む。
『気が付いたか、良かった……心配したぞ』
『ごめんなさい。もう、大丈夫ですだから……エルドラッド様は泣かないで』
『ぼ、僕は……グズっ、な、泣いてなどいない!』
泣き虫で優しいエルドラッド様……いまだけは側にいたい。徐々に思い出される物語を垣間見ながら、エルモはエルドラッドと王城で過ごした。
月日は流れて、エルモ達は乙女ゲームの舞台が始まる、十六歳へとなった。
(ここ……エルドラッド様の部屋だわ? あら? みぎてが、あたたかい?)
右手に温かさを感じて目線だけでベッドの脇を見ると、エルモの手を握り締めエルドラッドが寝ていた。
(………ずっと、私の傍にいてくれたんだ)
優しい王子――しかし、エルモは前世の記憶を思い出し、知ってしまった。
この手はいずれエルモから離れていくと。
エルモはエルドラッドとヒロインの邪魔をする悪役令嬢で、彼とは結ばれないのだと。
『……エルドラッド様』
彼の名前を呼べば、寝ていたはずのエルドラッドが勢い良く顔を上げた。
倒れたエルモを心配して泣いたのか……真っ赤な瞳で心配そうに覗き込む。
『気が付いたか、良かった……心配したぞ』
『ごめんなさい。もう、大丈夫ですだから……エルドラッド様は泣かないで』
『ぼ、僕は……グズっ、な、泣いてなどいない!』
泣き虫で優しいエルドラッド様……いまだけは側にいたい。徐々に思い出される物語を垣間見ながら、エルモはエルドラッドと王城で過ごした。
月日は流れて、エルモ達は乙女ゲームの舞台が始まる、十六歳へとなった。