【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)

 エルモがバイトに出てから一時間後。
 グルはもぞもぞとベッドがら起き、身支度をおえて食卓につき遅い朝食を始めた。
 その音にグルも目を覚ましたのか、トコトコ食卓に近付く。

「くわぁぁっ、よく寝た。あれ? あの子は」

「隣街のパン屋のバイトに行ったよ。グレもエルモの朝食を食べる? 美味しいよ」

「ふーん、バイトね……おお、うまそっ、食べる」

 エルモは残っていたパンを使い、二人にフレンチトーストなどを作っていた。

「美味い! バターが多めで、甘さ控えめだ」

「グル、オレにもくれ」

 こっちは食パンを小さくカットして、オリーブを引いたフライパンでカリカリに焼き、野菜と和えてドレッシングを掛けたパンサラダ。

 食卓に飛び登ったグレは、お行儀悪く"ガジャ、ガジャ"音を立てて、スープに顔ごと突っ込み飲み始めた。

「ぷっ、ふわぁ! グル、このトマトと入りの卵スープ美味い!」

「ほんとうだ、優しい味付けで美味いな……ぷっ、兄貴の口の周り、トマト色に染まっているぞ」

「ウルセェ!」

 まったく兄貴は顔ごと皿にいくから……エルモはパンサラダとフレンチトースト、トマトスープ、俺とグレの分を作っていってくれたんだな。


(ありがとう……)
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