【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
「いいえ、私は……怖くないわ」

「はあ? 怖くない? お前たち人間とは異なる者だぞ!」

「だからなに? 私は彼らに何もされていない。ただ、種族が違うだけで私は怖がったりなんてしない……怖いものは他にあるもの!」


 いまだに貴族だった頃の夢をみる。
 あの人達の冷たい瞳、歪んだ顔と醜い言葉。

 忘れたくても心に刻み込まれている。

『君を見たくない、僕の前から消えてくれないか?』 

『貴方がしっかりしなかったせいで、わたくしたちはいい恥晒しよ!』

『エルモ、一族の恥晒しめぇ!!』

『お前など要らぬ、何処にでも行ってしまえ!』

 他にもたくさん言われた……
 私がなにも言い返さないからって、傷付かないとでも思っているの……
 

「…………あ、ううっ……うっ」


 泣いたのを気付かれないよう、キツく唇を噛んだ。
 でも、漏れてしまう声と涙。

「すまない。……どうやらオレはお前に嫌なことを思い出させてしまったようだな」

 必死に首を振った。
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