【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)

「バイトにいってきます!」

「「いってらっしゃい!!」」

 食卓で眠そうに朝食をとる二人に伝えて、エルモはバイトに向かった。
 家をでて村の中を進むと、村の人達の姿も昨夜とは姿が戻っている、けど。
 みんなは宴会の疲れかだろう、眠そうに畑仕事をする姿がみえた。

(フフッ、みんなもお疲れね……宴会楽しかったから、次の満月の夜が待ち遠しいわ!)







 今日はお昼過ぎにパンが早々と完売。
 おばちゃんはレジカウンターで売り上げの計算をはじめ。エルモは商品棚を布巾で拭き。箒と、ちりとりを持ちホールの履き掃除を始めた。

(それにしても、今日のカツサンドは美味しそうだったなぁ)

 棚に並べて"あっ"という間に売り切れてしまったと、エルモは特売カツサンドのかごを見ていた。
 掃除を終えて裏に回ると、なんと休憩室のテーブルの上にカツサンドが置いてあった。

 仕事中、エルモがズッとカツサンドを見ていたのを知った、おじさんとおばさんは別に作ってくれたのだ。


「エルモ、土産だ!」
「エルモちゃんにカツサンドのお土産」

「いいのですか? ありがとうございます。食べるの楽しみです」

 エルモのあまりの喜びようだったのか。
 おじさんとおばさんは嬉しそうに笑って、他のパンもと持たせてくれた。

「お疲れさまでした!」

 店をあとにしてエルモは"魔法カード"を取り出して、グルにバイトが早く終わったことを伝えた。
 すぐにカードから「迎えに行くから、街の門で待っていて」と返ってくる。

 街の門で待っていると、遠くからグルがくる姿が見えた。
 その姿に手を振ると、グルは手を挙げた。

「おつかれさま、エルモ」

「グルさん、お迎えありがとうございます……あれ? グレちゃんは?」

「兄貴はまだ眠いって、ベッドで寝ているよ」
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