【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
「この子、なかなか可愛い子じゃない。黒ちゃんはその子をここに連れてきて何するの?」

「なにって、俺はエルモに大事な話があるんだ。グレとチタ、二人も一緒に聞いて欲しい」

 グルから大事な話と聞き、女の子は"ハッ"と、何かに気付き、ニヤニヤしながら小さな肘でグルを突っついた。

「フフ、やるわね。あ、でも、黒ちゃんは闇の魔力が強過ぎるから、ここで告白しても効果ないよ~大精霊様に森の守護者として選ばれたのは白ちゃんだし。それに、このフェリチタの木はもうすぐ枯れるわ……そしたら、この木の精霊のわたちも消えてしまう」

 悲しげに呟くと、グルは首を横に振り。

「俺とグレがチタを枯れさせない! このフェリチタ木は俺の憧れだ。村のみんながこの木を好きで、木の下で好きな人に告白して、結婚式をあげていた。俺にも大切な人が出来たら――このフェリチタの木の下で、想いを伝えたいと思っていたんだ」

 グル、グレ、チタの三人は集まり、楽しそうにエルモの知らない話しで盛り上がっている――その姿を見て、エルモはあの日の二人を思い出した。  
  
 仕方がないことだけど、寂しいな。
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