【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
 唇にグルの吐息を感じた瞬間、柔らかな唇がエルモの唇に重なり、チュ、チュと小鳥のようなキスが続く。チュっと、くちびるが離れて見えたのは、幸せそうに笑うグルの笑顔だった。

 ――グルさんと、はじめてのキス。

「フフッ、照れちゃうね」
「ああ、照れるな」

 そのあと、まったりベッドで過ごし。
 朝食を作るためにベッドから出ようとして気付く、静かだとは思っていたけどベッドの上にグレの姿はなかった。

(あれ、グレちゃんは?)

 グルは。エルモがベッドの上を見てグレを探していると気付き。

「エルモは、兄貴を探しているのか?」

「うん、グレちゃんならここで「なにしている?」って、絶対に邪魔すると思っていたから」

 本音がポロリと口から落ちると。
 グルは笑った。

「ハハッ、そうだな。兄貴は風呂の後に村に行くと言ったから、ついでに夜の見張りもお願いした」

 村の見回り……朝はグレで、夜はグルが見回りをすると、二人で話し合い決めたらしい。深夜、エルモが寝静まった後、見回りに行っていると聞いた。

「そっか。グレちゃん朝食いるかな?」
  
 隣でコーヒーをいれるグルに聞くと。

「んー、兄貴が戻ってきて、何か食べたいって言ったら俺が作るよ」

「うん、わかった」

 朝食は黒胡椒を効かせた目玉焼き乗せトースト、サラダとスープ。グルのお昼に一口ホットドックとサンドイッチを作った。
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