給料0円のお花屋さん
プロローグ
「いらっしゃいませ」
店のドアを開けた瞬間たちまち世界が変わった。いい香りとともに、どこからともなく光が入ってきて柔らかい空気に包まれた。時間の流れがまるで変わったようだった。
「おまかせで店員さんに花束を作ってもらいたくて、」
店員さんは柔らかく笑いかけてきた。
「花束は渡す用ですか?」
私はコクリと頷いた。
「渡す人はあなたにとってどんな人ですか?どんなイメージとかありますか?」
「憧れてる人です。優しくてカッコいい女性の先輩です。」
分かりました、と言うと店員さんは迷いもなく花を手に取り始めた。
「どうして花を?」
花を包みながら、店員さんは聞いてきた。
「退社するそうなので感謝として花束を渡そうかなと思って」
何か思いついたように店員さんは一本花を追加した。
「退社ですか、何故?」
「ご結婚されたそうで、寿退社です。門出のお祝いで」
そうなんですね。と言いながらまた何か思いついたように一本増やした。
出来上がったのか、店員さんは紙で花を包んだ。店員さんは私に花を差し出した。
「出来ました!」
そこには紫やピンクなど同系色の花が入っていた。
「説明聞きますか?」
「説明ですか?じゃあお願いします」
説明なんてするとは思わず私は戸惑いながらも頼むことにした。
「この紫の花はフリージアって言います。花言葉は『憧れ』です。それで、この青紫っぽい色の花はムーンダストです。花言葉が『永遠の幸福』で、そしてこのピンクの花はガーベラです。花言葉は『感謝』です。」
店員さんは私の話を聞いてそれに合わせて花を選んでいた。手紙とかで気持ちを伝えようと思っていたのに、花だけでも気持ちを表現できるとは。しかもすべての花言葉を覚えているのだろうか。
「ありがとうございます。すごいですね。すべての花言葉覚えてるんですか?」
「好きな事には本気になるじゃないですか。」
店員さんは、ははっと笑いながら続けた。
「男なのに花が好きとかって言われたこととかあるんですけど好きは変えれないので」
花っていっぱいあるのに、好きって理由で全て覚えられるなんて凄い。
私は花を受け取って財布を出した。
「いくらですか?」
と、私が聞くと店員さんは手を左右に振りながら言った。
「いただきません。」
こんな綺麗な花束を作ってもらっておいてお金を払わないとか私が許せない。
「いえ!」
そう言いながら一万円を店員さんに押し付けた。
「本当に大丈夫ですから!」
店員さんは私の背中を押しながら外へ出した。
「喜んでもらえたらそれだけで嬉しいです。お祝いなんでしたら尚更。」
はぁ。と言って私は頭を下げた。
「ありがとうございます。きっと喜びます」
店員さんは満面の笑みで、手を振って私を見送った。
「またご縁がありますように!」
店のドアを開けた瞬間たちまち世界が変わった。いい香りとともに、どこからともなく光が入ってきて柔らかい空気に包まれた。時間の流れがまるで変わったようだった。
「おまかせで店員さんに花束を作ってもらいたくて、」
店員さんは柔らかく笑いかけてきた。
「花束は渡す用ですか?」
私はコクリと頷いた。
「渡す人はあなたにとってどんな人ですか?どんなイメージとかありますか?」
「憧れてる人です。優しくてカッコいい女性の先輩です。」
分かりました、と言うと店員さんは迷いもなく花を手に取り始めた。
「どうして花を?」
花を包みながら、店員さんは聞いてきた。
「退社するそうなので感謝として花束を渡そうかなと思って」
何か思いついたように店員さんは一本花を追加した。
「退社ですか、何故?」
「ご結婚されたそうで、寿退社です。門出のお祝いで」
そうなんですね。と言いながらまた何か思いついたように一本増やした。
出来上がったのか、店員さんは紙で花を包んだ。店員さんは私に花を差し出した。
「出来ました!」
そこには紫やピンクなど同系色の花が入っていた。
「説明聞きますか?」
「説明ですか?じゃあお願いします」
説明なんてするとは思わず私は戸惑いながらも頼むことにした。
「この紫の花はフリージアって言います。花言葉は『憧れ』です。それで、この青紫っぽい色の花はムーンダストです。花言葉が『永遠の幸福』で、そしてこのピンクの花はガーベラです。花言葉は『感謝』です。」
店員さんは私の話を聞いてそれに合わせて花を選んでいた。手紙とかで気持ちを伝えようと思っていたのに、花だけでも気持ちを表現できるとは。しかもすべての花言葉を覚えているのだろうか。
「ありがとうございます。すごいですね。すべての花言葉覚えてるんですか?」
「好きな事には本気になるじゃないですか。」
店員さんは、ははっと笑いながら続けた。
「男なのに花が好きとかって言われたこととかあるんですけど好きは変えれないので」
花っていっぱいあるのに、好きって理由で全て覚えられるなんて凄い。
私は花を受け取って財布を出した。
「いくらですか?」
と、私が聞くと店員さんは手を左右に振りながら言った。
「いただきません。」
こんな綺麗な花束を作ってもらっておいてお金を払わないとか私が許せない。
「いえ!」
そう言いながら一万円を店員さんに押し付けた。
「本当に大丈夫ですから!」
店員さんは私の背中を押しながら外へ出した。
「喜んでもらえたらそれだけで嬉しいです。お祝いなんでしたら尚更。」
はぁ。と言って私は頭を下げた。
「ありがとうございます。きっと喜びます」
店員さんは満面の笑みで、手を振って私を見送った。
「またご縁がありますように!」