【短】失恋スタートライン
「あのっ……」
「悪いけど俺、誰とも付き合う気ないから。むしろ女ってけっこう苦手」
「それっておと……」
「別に男が好きってわけじゃないから、勘違いしないで。その短絡的思考は二度としないで」
「あ、はい。すみませんでした……」
私の考えたことが分かったのか、すぐさま否定される。
怒られてしまった……。
たしかにいまのは良くなかったよね。
けど、誰とも付き合う気がないっていうのは、他の誰かのものにならないってことで安心。
それは同時に私とも付き合わないということになるけども……。
でも、そんなことは最初から分かっていたことなわけで。
「じゃあ……」
「また、話しかけに行きます!」
「え?」
「今ここで、私は諦めないことを誓います!」
「勝手に誓われても……」
面倒くさいって感じで頭をかく高瀬くん。
ニコッと微笑めば、思いっきり顔を引きつらせた。
本当に女の子が苦手なんだな。
友達の前であんなに引きつった顔を見たことがない。
これもまた新しい発見ということで、前向きに行こう。