【短】失恋スタートライン
高瀬くんを想って、近づこうとするだけで私は何でも楽しいし頑張れるんだ。
授業中も高瀬くんが頭の真ん中にいながらも、頭が良い彼に追いつこうと授業に集中する。
ほんの少しだけ、勉強もできるようになってきた気がする。
気がする……。
頭がパンクしそうになったところで午前の授業が全て終わる。
終わったー!!
大きく伸びをしてから筆記用具を引き出しに押し込む。
「彩ちゃん、お弁当食べよう!」
「うん。で、今日は?」
「今日は屋上で食べるらしいから、私たちも行こう!」
「はいはい」
「いつもありがとう!」
お昼休みは裕介くんにどこでお昼するのかを教えてもらい、私は彩ちゃんをつれてその場所に行く。
高瀬くんには気づかれないように、友達との時間を邪魔しないように遠くから見つめているだけ。
でも、その時間が本当に至福の時間だったりする。
彩ちゃんとお弁当を持って屋上に向かおうと教室を出た時。
「田宮さん、ちょっといい?」
「はい?」
いきなり名前を呼ばれてそちらを見る。
そこにいたのは隣のクラスの……中田くんだっけ?
ほとんど接点がないから確信は持てないけど、たぶん中田くんだと思う。