【短】失恋スタートライン
「2人だけで話したいんだけど……」
「えっ」
「何か用がある?」
「あーっと、えっと……」
高瀬くんを見るという私にとってはすごくすごく大切な用がある。
でも、わざわざ私のクラスの前で待っててくれたってことは、中田くんも私に用があるってことだし……。
「分かりました。少しだけなら……」
「りず、いいの?」
「すぐ戻るから先に行ってて」
「うん」
彩ちゃんにそう言って、私は中田くんについていくことにした。
話が終わればダッシュで屋上行くぞ。
中田くんには申し訳ないけど、私の至福の時間をこれ以上減らすわけにはいかないから。
歩いてやっと立ち止まったところは1階の自販機がたくさんあるスペース。
昼休みはみんな食堂の自販機を使うから、この時間はわりと人が少なかったりする穴場。
「こんなところに連れてきてごめん」
「ううん。それで話って?」
早く済ませちゃおうとすぐに本題に移る。
中田くんは一度下を向いてから、すぐにバッと顔を上げて私を見た。
その勢いに驚きつつも見つめ返す。