【短】失恋スタートライン







昼休みまであと秒針があと43周。

あと42周。

あと41……。


授業中は時計とにらめっこ。



「た、田宮……どこ見てるんだ?」

「……あと20周、あと19周……」

「田宮!?」



何かに憑りつかれたように時計から目が離せない。

他のことなんて目に入らないし、耳にも届いてこない。


もう心臓が爆発しそう。


だけど、わくわくしている自分もいるんだ。


あと、1周……!



「じゃあ今日はここまで」



その言葉は私の耳にすんなり届いて、すぐさま教科書とノートを引き出しに突っ込む。



「起立、礼」

「ありが……」

「ありがとうございました!!」



学級委員の号令のあとに、誰よりも大きな声で挨拶をすると教室を飛び出した。


みんなが私を見た気がするけど、今はそれどころではない。


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