待てない柑士にひよりあり ~年上御曹司は大人げなくも独占欲が止められない~
そうは言っても、完全に吹っ切れているわけでは全然なかった。
でも、壮一のことを好きになって、私は誰かを好きになれるんだって安心した。
私は昔から恋愛関係には疎すぎるくらいだった。それは私が人となかなか距離を詰められないことにも起因する。
普通に話せるのも、高校時代からずっと一緒だった和美くらいだし。
そして、そんな私が初めて好きになったのが同期で入社した壮一。
私は壮一を好きになるまで二年もかかった。ゆっくり好きになっていったし、私が彼を好きだと気づくまでの二年間、壮一は何人か他の女の子と付き合っていたくらいだ。
壮一と私の恋愛のペースは違いすぎたけど、付き合ってる間は私のペースに彼が合わせてくれていたと思う。
「それでも、私は許せない」
「和美が怒ってどうするのよ」
和美はきらりと目を輝かせて、人差し指を私に向けた。
「思いついた、これこそ合法的な最高の復讐方法!」
「だから復讐はいいってば」
私は息を吐いて和美の顔を見る。
しかし、和美は続けた。